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新しいテクノロジーと世界のニーズを結ぶ役割を果たします


−− 21世紀の課題は化学薬剤と病害からの農業の開放 −−

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農薬漬けになって久しい日本の農作物をよみがえらせよう

1.アメリカ発のグローバルな農薬公害と国連の行動

アメリカの農業が過去に直面し、現在でもその解決に苦しんでいるグローバルな農薬公害の元凶となった害虫駆除剤の臭化メチルはオゾン層の破壊の大きな原因となりました。それだけではありません。この毒性が極めて強い化学薬剤は、単にアメリカ農業の中核セクターに侵入 しただけではなく、その高い殺虫効果の故に広く世界各地の農業や食品流通部門でも利用が広がりました。

1998年7月にカナダのモントリオールで開かれた国連の多国間基金助成申込審査医委員会は、臭化メチルの代替物質の開発にかかわる19件のプロジェクトへの資金提供を承認していますが、これらは、世界各国でのいちご、切り花、たばこの生産過程で使用可能な、化学薬剤および非化学物質の双方を含む代替物質の具体的な実験による効能検知を含む開発研究を目的としています。この時期に承認を受けた19件のプロジェクトに対しては、合計三百三十万ドル以上の助成金が交付されました。

これまでこの基金から助成金をうけたこの種の研究開発プロジェクトは61件にのぼり、世界36ヶ国にわたっていて、その内17のプロジェクトが現場での試験とデモンストレーションの実施に向かっている以外は、大部分が未だに準備段階にあります。モントリオール会議の現地報告によると、今後これらの研究プロジェクトが進めば、その結果一方では有害で危険な新しい農業化学薬剤を生み出すことになる恐れもあるが、他方、維持可能な明日の農業を支える新しいテクノロジーが開発される可能性もあると言われています。

オゾン層破壊作用をもつ農薬の代替物質を探求するこの基金は、モントリオールの国連会議の結果設立されましたが、プロジェクトの実施には、世界銀行、国連工業開発機構(UNIDO)、国連開発プログラム、国連環境プログラムが、対象国政府と協力しながら支援に当たっていますが、中でもUNIDOが中核的役割を果たしています。これに呼応して駆虫剤対策行動ネットワーク(PAN)と地球の友(FoE)の二大国際NGOは、協力して『地域NGOコンタクト・グループ』(Regional NGO Contact Group)という名の国際連絡機関を設置してこれらのプロジェクトの実施内容のモニターに当たっております。

しかし、最近の調査では、これまでのところNGOが現場での実験プロジェクトに参加しているケースは皆無に近く、プロジェクトによっては冗費の支出が多く紋切り型の研究内容が目立つとの批判がもしばしば聞かれると言います。今後は、上記の『地域NGOコンタクト・グループ』がプロジェクト担当者に、現地の農家や専門家と直接協力できるNGOを紹介してゆくことで、この問題の解決をはかる努力を重ねる由です。

注:上記事実の紹介にはPESTICIDE ACTION NETWORK NORTH AMERICA REGIONAL CENTER のレポートを参照させて頂きました。
なお、写真は Smithsonian Magazine 1996年12月号に掲載されたものです。







2.農薬漬けとなっている日本の農業の問題

21世紀に向けてグローバリゼーションが加速する世界の中の日本の農業は、世紀末の今日幾つかの大きな問題に直面しています。消費者のニーズが無農薬、低農薬、有機栽培、そして安全食糧に急速にシフトしている昨今は、従来通りの農薬漬け農法では21世紀の市場への対応が困難です。しかし、上のアメリカ発の臭化ブロマイドの例でも分かるように、新しい無公害農業の経営を可能にするには、最新の、確実な科学的裏付けのある有害農薬の代替物質を使用する新しいテクノロジーが必要となり、それには信頼のおける専門家のアドバイスと現地での実証実験が不可欠です。

第二次世界大戦後の日本では、科学技術を結集した薬剤や化学肥料や土壌改良剤の多用から、遂には品種改良剤の使用まで進んできたのですが、初期の目的の達成には確実な成果をもたらしたものの、同時に、耐性菌や新種のウイルスの多発という事態をも生み出し、それに対応する新薬の開発が時間的にも、経済的にも、そして技術的にも追いつけなくなっております。

当研究所では、この事態を夙に予見し、病害防止を最優先課題として取組み、公的資金の助成や大学などの実験協力を得、生産者にパイロットプロジェクトに参加・協力を頂いた結果、世界にも類例が見られない 独創的なテクノロジーの開発に成功しました。

この斬新な情報科学テクノロジーは、それを実験室の限界を越えて、現実の事業規模を持ったテストにまで踏み込んで以来まだ2、3年しか経っていませんが、それでも、農業分野では、北海道でのホーレンソウ、メロン、乳牛、秋田県での稲作、神奈川県でのトマト、メロン、大根などで具体的な成果を生んおり、ウイルスや耐性菌の活性の制御に成功しています。同時に他方では、免疫(生体防御)機能が目立って高揚することも実証されてきました。

平成10年度には、全国的にジャガイモを作付けしている農家にとって大きな問題となっているソーカ病への対策のための予備試験を北九州で行い、すでに画期的な結果が報告されています。すでにこのニュー・テクノロジーのソーカ病への適用の最初の試みは、平成8年に愛野町長の峰氏の農園で実施され、かなりの成果をあげていますが、その後当研究所では生命情報科学の解明とその応用研究の分野で著しい進展があり、今回は、細心の技術を駆使しての再挑戦となったのでした。

愛野町と南有馬町の両地区とも、ソーカ病の発病率は劇的に低下し、収穫総量は大幅に増加、南有馬町では一株当たりの収穫量が実に3倍にも達し、いずれも対照区と有意な差が見られました。これを同年度の農林統計との比較で見ても愛野では試験区の収穫が長崎地区の平均値を上回り、南有馬では大幅に平均値を上回って北海道のそれに近い値となったのでした。

私は、当研究所が開発した情報テクノロジーを駆使したソーカ病対策技術は、現在使用されている極めて毒性の強いクロロピクリンの代替物質としての役割を、全く化学薬品を使用することなしに果たす能力を持った全く新しい型のテクノロジーであると確信しております。