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新しいテクノロジーと世界のニーズを結ぶ役割を果たします


−−− エビ養殖事業の光と影 −−−

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マングローブと水田稲作の危機

いまやエビ養殖産業の危機はアジア太平洋全域を覆う

日本発のエビ養殖テクノロジーは、東アジア、東南アジア、更には中南米諸国に広がり、全体としてはアジア太平洋地域の南半分の地域の途上国の農家や漁業者に巨大な経済的利益をもたらしたのは事実です。しかし、それが結果的には限りない環境破壊と水質汚染、そしてバキュロ・ウイルス感染症がこれら全域に蔓延するという恐ろしい事態 を生み出したことは、すでに挙げたタイ国の例を見ても明白な事実で、この問題は、インドネシアからインド、インドシナ半島、ミャンマー、中国本土、台湾、そして日本にまで広がっています。

人間のなすわざが、それがたとえ善意の意図に基づいたものであったとしても、どんなに恐ろしい結果をもたらすことが現実にあるのかは、このエビ養殖テクノロジーが如実に示しているのだと言えます。ましてや、それが日本発のテクノロジーである場合には私達日本人は、それについて事実を知る義務があるのだと私は確信します。それは、アメリカ人にとっての臭化メチル問題 と同じですが、アメリカ国民の間ではこれに対してアメリカ市民が大規模な反対運動を続けてきており、その結果、2001年度初頭には、農薬としての臭化メチルの製造が遂に米国内で禁止される運びとなりました。

いまアジア太平洋地域では、エビ養殖産業に同じことが起こりつつあります。タイ国の場合は、その輸出産業の中でも外貨の稼ぎ頭の地位にまで躍り出たエビ養殖産業に新しい規制をかけて、タイ国の自然環境と水田稲作農業とが共生できるバランスを達成するための対策が模索されています。しかし、バキュロ・ウイルス感染症のような複数の病原を押え込むには、現在までのところは新しい化学薬剤の開発という、悪をもって悪を制するに等しい方法しかありません。

これではしかし、ウイルス自身の進化と抑制薬剤の開発のいたちごっこが無限に続き、薬剤汚染と環境破壊はそのまま継続されることになります。アジアの水田稲作地帯で環境とエビ養殖を両立させるには、エビ養殖産業自体が過去の化学薬剤依存体質から脱却することが至上命令です。当研究所は、化学薬剤という20世紀型テクノロジーからの脱却と 21世紀型の情報テクノロジーの確立 を目指しています。

エビ養殖問題に関する国際NGO活動情報

国際NGOの地球サンミット・ウオッチはこの問題について シュリンプ・オンザネットという名のサイトを持っていて、世界の重要な関連政府機関やNGO組織の活動について有意義な情報を提供しています。

国際的規模を持つエビ養殖問題については、 エビ養殖問題オンライン監視機構の会長 S.J.シェール氏は次のように言っています。

エビ養殖問題に関心のおありの皆さん

1997年2月以来、当機関はインターネット上で維持可能な養殖エビ生産に関する問題を扱っているウエブサイトを注視してきました。情報ソースの内容の紹介や個個のサイトの質的評価を行っています。これらのサイトの感じは一般のウエブサイトのそれと大差はないのですが、この巨大産業と、それが生んでいる環境や社会生活への重大な影響についてのグローバルな規模に広がりつつある討論、対話、論戦の持つ重要性にぜひ注目頂きたいものです。

当機関の作成した関連情報ソースの一覧表をご利用になって、この問題と関係のある政府機関、組織、そして企業団体が自らのウエブサイトの拡大と改善や、新規構築を計られることを期待します。この問題に特に関心がおありで更に詳しい情報をご希望の場合は、直接にそれぞれの機関や団体にご連絡なさることをお薦めします。さらにご留意頂きたいのは、この問題に深い関心のある団体や地域社会が、特に途上国の間に多いのですが、インターネットへのアクセスを持たない場合が多いという事実です。

ですから、これらの人々の意見や声を世界の皆さんにお伝えし、考えてゆくためには、特に努力をする必要があると考えております。

S.ジェイコブ・シェール
会長

エビ養殖問題オンライン監視機構









































タイ国の例 − 政府の対策とその限界

タイ国のチュアン・リークパイ首相は、昨年7月7日に声明を発して、同国の内陸部でのエビ養殖を禁止する旨の提案に踏み切ったのでした。稲作が行われている水田や果樹園への汚染被害と、河川や湖沼の水質汚染が問題となり、結果として、同国の中央部の河川流域と北部の平野で900ヶ所にのぼるエビ養殖場が閉鎖されることとなったのです。

過去数年に、タイ国では沿岸部のエビ養殖場の汚染と伝染病による被害が深刻化した結果、数多くの養殖場が閉鎖され、内陸部に移動する傾向が増え続け、現在ではタイ国の養殖エビ生産量の約20%が内陸部のものだとされています。1998年度に入って、内陸部の水田稲作農家の間で、エビ養殖場の廃水が水田に流入した結果米の収穫が減少し、塩分の増加は稲作そのものの存続を脅かしていると主張する抗議運動を起こしています。

内陸部の水田稲作地帯では、エビ養殖場の排水の影響を受けない水田は全体の一割程度にしかすぎません。そして、今回の禁止措置は、タイ国の全国環境問題審議委員会の答申を受けた総理大臣が決断するという形をとったのです。これに対しては、タイ国内のエビ養殖業者も黙ってはいず、約1000名にのぼる養殖家がバンコック市の宮殿前広場で抗議集会を催しています。彼らは、今回の禁止措置は、彼らの生活権を奪うものであるがゆえに適法性に欠けており、禁止措置ではなく環境保護規制で対処すべき問題だと主張しています。

これは極めてデリケートな議論であり、現行のタイ国の環境保護法には明確な具体的規定がなく、沿岸のマングローブ林はおろか、国立公園内のそれまでエビ養殖池に侵食されていても何ら法的措置がとれないという状況が存在していたのです。このような状況の下で、1998年7月にイングファン・マナシカーン科学・技術・環境大臣は、禁止措置の猶予期間を4ヶ月から12ヶ月まで延期する意図を表明しましたが、エビ養殖業者側は3年間の猶予を要求したのです。

以来、タイ国では双方の利益団体に関係分野の専門家を含む全国規模の審議会がこの問題の討議を続けてきていますが、維持可能な経済発展と環境保全の問題は、アジアでも環境にやさしい代替テクノロジーの開発を待たざるを得ないというのが現状です。理想的な解決に至るまでに過程では、環境への悪影響がより少ないテクノロジーの利用も現実的には課題とならざるを得ないでしょう。