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新しいテクノロジーと世界のニーズを結ぶ役割を果たします


− エビ養殖場を襲う悪性ウイルスに立ち向かう情報科学 −

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情報テクノロジーで高い生存率を確保

すし屋でおどりで食べる車えびが生きて私達の食膳に現れるのを不思議がる人はもう誰もいませんが、これは日本人が開発したエビの養殖テクノロジーのおかげであり、事実今日私達の食卓にのぼるエビ類はそのほとんどがアジア太平洋地域のいずれかの国のエビ養殖池で育ったものだという事実はそれほど知られていません。

当研究所所長である私自身も深く関わってきたエビ養殖テクノロジーの開発は、日本だけではなく、広くアジア太平洋全域の諸国に経済的福音をもたらし、中でもタイ国の場合などは、エビの輸出が外貨獲得のための中核産業となるといった劇的な発展を生んだのでした。しかし、爆発的な産業発展は歴史的に見ても、自然環境への悪影響や既存の産業基盤の撹乱といった弊害を伴うのが普通です。そして、このトレードオフが大きくマイナスに傾く場合には深刻な政治問題を生まざるを得ません。

生態系を支えるマングローブ林の破壊の進行

エビ養殖の場合も決して例外ではありませんでした。それはまず東南アジア諸国で海浜の湿地帯のマングローブ林や水田米作農地の破壊が急速に進むという現象に現れました。このような低湿地帯はコストの点からしても、それ以外の自然条件からしてもエビ養殖池の造成が容易であったのです。なかでもマングローブ林は、近海水産資源の生命の揺りかごとも呼ばれるほど重要なエコシステムの一環であることから、営利性の追求に走るエビ養殖産業に対して近年国際社会から批判の声が高くなり、マングローブ林を守ろうという国際NGO活動が盛り上がってきたのは読者もご承知のとうりです。有利な第一次輸出産業としてのエビ養殖事業は自己の拡大再生産のための強靭なダイナミズムを持っています。国際環境保護運動とエビ養殖産業はまさに正面からの対決に向かって進む形勢にありました。少なくとも数年前までは。

車エビのバキュロ・ウイルス感染症の猛威

しかし過去数年間の間に、エビ養殖産業にとっては全く別の深刻な問題が立ちはだかったのでした。通常ホワイトスポット病と呼ばれるこの病気は、数年前に中国から広がったと言われるウイルス病であり、急性血症によって短期間に養殖池のエビが大量に斃死させるもので、エビ養殖業者に壊滅的打撃を及ぼしています。現在では、日本のみではなく、東南アジアや中南米諸国にも世界的な規模で広がりを見せており、在来の薬剤の使用では全く効果が見られないという悲劇的状況を生んでおります。新しい薬剤の開発や、環境管理方法の改善など、各国の科学者は努力を重ねております。

例えば、下関国立水産大学の高橋教授らが中心となって新薬の開発に努力が続けられており、各種の免疫賦活剤やウイルスの血球細胞侵入を制御する薬剤が実用の域に達しつつありますがいまだに根本的対策を発見するには至っておらず、ホワイトスポット病が沿岸海域の天然エビ類やカニ類などにまで伝染して、生態系の破壊や栽培漁業への悪影響が、環境問題との関連で心配されております。

新しいウイルス対策テクノロジーとしての情報技術の開発

当研究所では数年前から本技術の研究に着手し、平成8年2月にその成果を水産庁記者クラブで発表していますが、以来、水産業界と関係の深い電気機器メーカーや、上記水大の高橋教授の協力を得て、3ヶ年計画で情報テクノロジーとその実用化のための本格的な研究開発に取組んでおります。

ここで『情報テクノロジー』について簡単な説明を加えておきましょう。それは、物質はすべて固有の情報(波動)を持っており、それが性質として現れます。ウイルス類も同様であり、各種のウイルスはそれぞれが、言わば生命情報とでも呼ぶべき固有の情報を発信しております。その根元はDNAに含まれている特殊な塩基配列であると考えられます。ウイルスは細胞内での増殖条件が整えば、活性化して健康体を脅かします。栄養や温度や湿度やPHなどの周辺条件がいくら整っても、この情報が無ければ感染発病には至りません。

このウイルス固有の情報を捉える技術、その情報を『反転』させる技術、それらを記憶させる技術、更には、それらを再転写する技術が、当研究所で開発された生命情報・物質情報テクノロジーなのです。この技術は、強磁場装置、記憶テープ、記憶水や、其の他の誘導体(セラミックのような)等のハード技術と、装置の操作法や、これら資材の使用法などのソフト技術から成り立っています。

過去に当研究所の開発した情報テクノロジーは、ウイルス等の病原体の情報転写、反転写が主体でしたが、今日では、最近開発された免疫情報転写、再転写を加える手法を取り入れることで効果が一段と向上しています。免疫情報の把握は、免疫賦活剤を健全なエビに適正投与して免疫力を高揚させたあと、血液を採取し、これから免疫情報を得るという方法をとっています。

情報テクノロジーを使った基礎実験による効果の確認

上記水大の実験室では、健全エビ(DNAの鑑定、PCR法)に強制的にバキュロ・ウイルスを高度感染させ、斃死率を抑え生き残り率を如何に高めるかの実験、また諸条件を変えての実験が繰り返し行われました。その結果、ウイルスの反転情報に免疫情報を加えることにより対照区と比べて大幅な差、統計的に有意な差が常に見られたことが確認できています。

生体のエビにこれら二情報を投与する方法

  1. 二組の情報を記憶水に転写したあと、ペレット飼料にも情報水で噴霧乾燥処理をする
  2. 二組の情報を記憶水に転写したあと、更にセラミックに転写、それを使って飼育水を処理する
  3. 装置に配管し、常時飼育水を循環させ二情報を環境に与えることで、環境からエビ体内に伝える
  4. 装置に配管し、常時空気を送り二情報を環境に与えることで、環境からエビ体内に伝える

成果

この内、エビ養殖場に適用が容易なのは1、2、4であり、これらの組合せも使用できます。平成8年度には、四国地区とマレーシアで2ヶ所、平成9年度には四国地区で1ヶ所実証実験を行い、明らかな効果が得られました。特に対照区を置いたマレーシアでは、対照区90区が全滅したのに対し、実証実験10区は正常な収穫が得られました。平成10年度は四国地区4ヶ所と台湾地区1ヶ所で実証実験が進行中ですが、全地区でほぼ順調な成果が見られ、現在中間レポートが準備されつつあります。

高い生き残り率を維持できる理由の解明も進んでいます。微生物学的(増殖制御)と免疫学的視点から、環境から体内に入った情報がどの程度作用し、機能しているかを明らかにする実験が行われた結果、それが明らかに増殖を制御していることが明白となりました。エビのもう一つの大敵はビブリオ病ですが、寒天培養基の実験では、情報処理により完全に増殖を抑えることができる事実が確認されました。また、免疫学的実験では貪食指数が対照区の約5−6倍、色素包囲能が約2−3倍となり、上記の高橋教授が開発した薬剤投与に匹敵する効果が証明されています。