岡本先生は極東ロシアを北へ流れてサハリン(樺太)北端の対岸に河口を持つ大河アムール
の不思議な水質汚染について話されました。ハバロフスク州と沿海州
を股にかけた流域には太古の自然がそのまま残ったタイガの森が続き、幾つかのアジア系先住民族が住む村々がひっそりと河に寄り添うように散在しているので
すが、ここに住んで森と河からの自然の恵みを中心に生活しているこの人たちが、不思議なことに近年になって原因不明の疾病に冒されるケースが増えているそ
うなのです。そして、この汚染源は、この人達が常食としてきた淡水魚だと判明し、更にこの淡水魚の汚染源が中国東北部を北に流れてアムール河に注ぐ、黒竜
江、牡丹江、松花江といった河川の流域地帯で使われている農薬だ
ということが次第に判明してきたのだそうです。
これは、ロシア側でいくら問題解決を計ろうとしても不可能な、国境を越えた水質汚染が引き起こした食中毒事件だったのです。このような広域環境汚染問題の
解決には、地域内での国際協力が不可避であり、この意味では岡本先生の言う東アジアの地域的広がりとも重なることになります。
2009年3月6日
市村武美