山村過疎化防止と村おこしと伝統 文化の継承を一つにした国際支援プロジェクト
− ネパールの僻地社会はどのようにすれば国際子供文化交流に参加できるのか −
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衛星中継でアジアの僻地小規模社会村おこし戦略

- 2002年以降のネパールヒマラヤ山岳の僻地の例 -

誰もが知っている険阻なヒマラヤ山脈も、 その山麓地帯はこの写真に見るような緑にあふれた深い谷を挟んで集落が散在する切り立った山肌の山岳地帯がヒマラヤ山脈に沿って北ネパールを横断して限り なく続いています
(1) ネパールの中央部のヒマラ ヤ山麓の高原地帯に首都カトマンズがありますが、それから北部はヒマラヤの急峻な山岳地帯となり、右の写真にあるような深い谷に隔てられた山岳が数多く散 在しています。

20世紀の後半から21世紀にかけて、ネパールの自然と文化は欧米人だけではなく、日本をはじめアジアの比較的富裕な国々からも観光客を魅了してきました が、2001年9月11日のニューヨークの劇的なテロ事件以来、国際観光ビジネスは急速に減少してきています。
この変化はしかしカトマンズ市の経済の沈滞と混乱を生んでいるだけではなく、以前から貧しい農村や山岳地帯に住む人たちにとっても大きな打撃となっていま す。
この子達はカトマンズの東部のそのような 山村の一つコティマール村に住んでいて、背後にあるのが村の小学校の校舎の一つです。
今回我々が企画しているのは、衛星中継のための地上ターミナルを近代的な社会インフラが全くない山間僻地にあるこの村に設置して、村の学校に通う子供や若 者にアジア太平洋地域の国際文化交流に参加する機会を提供することです。
インフラが無いというのは、単にガス、水道、電気といったものだけではなく、道路や窓ガラスといった我々が当然あるものと考えてしまう日常生活を支える物 質的条件にさへ欠けている場合が多いのです。
私たちが今回のアジア太平洋の子供と青年のための国際文化交流のプロジェクトの対象として選びたいのは、ネパール人口の圧倒的多数が住む農村や山村に住む 子供や若人たちなので、インターネットにアクセスできる環境にあるカトマンズのような都市に住むごく少数の裕福な階層の子弟が通う学校だけが対象ではない のです。
この子は、私がコティマール村に向かう険 しい山道で突然道端の茂みの中から現れ、言葉が通じないのに一緒に半時間近くも歩いてくれた後どこともなく姿を消したのでした。

とは言っても、インターネットにアクセスできる小型衛星通信機器を現地にセットし、それを使いこなしながら適正な作動環境を維持するのはそう簡単な仕事で はありません。現地の操作者の訓練や利用システムの構築などが不可欠だからです。
バーチュアル・ファウンデーション・ジャパンが1979年度からかかわりをもち始めたネパールのプロジェクトが支援するコティマール村の仏画画工養成スクールには、この村の学校の生徒も含めて数十名の青少年男女がブータ ン国の僧院で画業を修めた若い修行僧の指導の下で修業にいそしんでいますが、これなどは地 元の学校と組み合わせてインターネット上で紹介すれば素晴らしい国際文化交流が可能となるはずです。
右の写真にある子供と行き逢った山道から 峠を越えるといよいよコティマール村のある深い谷間が眼下に広がるのが見える。ガス、水道、電気といった社会インフラが無いという意味が納得される景観で はある。
衛星中継によるインターネット接続のテクノロジーに関しては、我々はすでに昨年度以来検討とフィールドテストを重ねた結果、低コストで実用性の高い衛星 サービスを、英語、日本語、ロシア語に加えて、ネパール語による電子メール翻訳サービスと組み合わせたシステムの開発に成功しています。現地ネパールの NGOであるヒマラヤライトファウンデーション(HLF)との戦略的提携関係の確認を終えた現時点で残っている作業は現地への機材の搬入と必要な人材の確 保と組織の構築です。

コティマール村の学校の一室に私たちは宿 泊したが、毎朝夜明けを待って子供たちが我々を起こしに来てくれた。はだしの子も多く、衣服もまちまちだが誰もが好奇心にあふれる澄んだ目を持っていたの が印象的だった
HLFの事実上の創立者であるフリーデンソーン氏は、アメリカ東岸のニューイングランド地方の出身ですが、早くから仏教に帰依してネパールに移り住み、ネ パール語とチベット語をよくし、現地の文化伝統の維持と矛盾しない村おこしの支援活動で知られ、HLF職員は全員現地の若者でネパールの僻地の地域社会に 無公害の太陽光発電による灯火システムを導入することで夜の時間を利用して民芸品制作のための職場を提供するという方法で村おこしを支援するのNGO活動 を進めてきたのですが、出来上がった民芸品や絵画の販路の開拓という分野で厚い壁に突き当たっていました。

アジアの子供や若人の間での国際文化交流のための舞台をインターネット上に構築する目的の活動を進めてきて、そのための手段としての通信衛星によるイン ターネットへのアクセス技術を開発してきた私たちにとってはHLFは相互の役割が補完的であり、僻地社会に住む人達がグローバルな情報化時代から取り残さ れた陸の孤島とはならず、広く外の世界との交流を通じて村おこしができるような方法を共同で開発するための戦略 的パートナーとして共同作業を進めることとなったのでした。

(2) このようなわけで、コティマー ル村は私たちの子供と若人のための国際文化交流のテストプロジェクトの最初の僻地社会として選択されて現在に至っています

黒い空洞のように見える窓にはガラス戸が ないし、屋内の照明もないが、生徒たちは元気にあふれていて屈託の無い午後の自由時間を楽しんでいた
衛星中継システムの稼動に現地で必要となるハードウエアは基本的には太陽光/風力発電機と、絶えず地球を回っている低高度通信衛星と自動交信するソフトを 内臓したポータブル地上ステーションと交信用のアンテナ、それに接続されたパソコンです。これらの四つのハードウエアが揃えば、左の写真に見られるような 山村の学校でも毎日何回かインターネット経由の交信が外部世界でできるようになり、その場合の操作はインフラが整備された大都会でパソコンを使って交信す る場合と大差ない難易度となり、操作の習得は格別難しいものではありません。その上、システム自身がポータブルであり、地上ステーションの位置は内臓の GPSによって自動的に修正されますので、どこへでも移動して使用することが可能です。

中学から高校の学齢期の子達だろう。ここには 真剣な眼差しをして、物言いたげな子供たちがいた。この子達の中から伝統民芸品や仏教絵画の制作に励んでいて自由時間に寺子屋式の仏画画工養成スクールに 通う者も少なくない
小学校から中学を経て高校に至る学齢期の子供たちがもし地理的に一箇所には居ない場合でも、ラップトップのパソコンを使っている場合必要に応じて地上ス テーションを移動することに問題はありません。

低高度通信衛星を利用してアジア太平洋全域の僻地社会をインターネット上のネットワークで結べば、現行の長距離電話料金と比較しても驚くほどの低コストで の外界との交信が可能になります。唯一の制約は、低コストでのサービスを維持するためには、直接インターネットにアクセスして画像を含む大容量のデータを オンラインで見ることは遠慮して頂かねばなりません。出来るだけ多くの地域社会をネットのメンバーになってもらうための必要条件です。しかし、インター ネット上のURLさへ分っていれば、必要な文字情報は全てのページから取り出せる機能は備えています。もし画像を含む全情報を直接自分の目で見たい場合 は、ネパールのコティマール村を例にとれば、インターネットのインフラ環境の整ったカトマンズ市でCDにダウンロードしたものを村の学校に送ればパソコン の画面上でも、プロジェクターで教室の大画面スクリーンで生徒全体が見られるわけです。

このモデルは2002年度に出た最新の機 種で今までに無い性能を持っている。GPSによる自動位置確認や、バッテリーの寿命の延長、交信プロトコールの信頼度の向上がその例だ
左が地上ステーションの最新型モデルです。それ自身の大きさは、手前にある卓上電話機と比較すればお分かり頂けますように、蓋を閉めると気密性が高く僻地 での戸外での運搬に十分に耐える設計となっています。これを自家発電機の電源とアンテナにつなぎ、ラップトップPCを接続すれば準完了です。後はすべてが 自動化されていて、衛星が頭上を通る時には自動的に送信メールを衛星にアップロードし、衛星が携えてきた受信メールがダウンロードされます。
使用するメールアドレスは、通常のインターネット上のメールアドアレスの頭に衛星経由記号が付いたものとなり、インターネットのブラウザーが提供するメー ル処理と全く同様の手続きでの交信が可能で、テキストメッセージの長さは文化交流には殆ど制限が無いと言ってよいほどの処理能力があります。

このアンテナも2002年に始めて実用モデルが完成した新型全天候アンテナ だ。すべてが気密シリンダーに内蔵されているので湿度や風雨といった故障につながる外的気象条件の影響からは完全に遮断されている
次の写真はアンテナですが、これに関してはちょっとした開発の歴史があります。1997年以来の日本と現地でのテストの結果、ネパールではモンスーンと呼 ばれ、日本では梅雨と呼ばれる共通の雨季があり、夏の高温多湿という条件の下では通常のアンテナでは接続部品がさびやショートといった機能劣化現象を起こ して通信機能に障害が生まれることが判明した結果、アンテナ全体を気密ケースに内蔵する必要が判明した結果生まれた最新モデルなのです。
このアンテナのサイズは現在では地上ステーションに比べると大きいのですが、将来は通信に使用する周波数によっては劇的な小型化も可能で、地上ステーショ ンとほぼ同じ大きさにまで縮小できる可能性は十分にあります。このような形での衛星通信3点セットの完成には今後1-2年もかければ十分可能だと判断して います。
いずれにせよ、2002年度秋から2003春までにはコティマール村の学校が国際文化交流に参加できる可能性は十分以上にあります。唯一の問題は、現在も 続いているネパールでのいわゆるマオイスト反乱軍の活動による地方の政情不安が挙げられますが、これさへ問題なければ今冬のコティマール村の参加には何ら の問題もありません。
このシステムが設置されれば、最も大切な目標の一つはサンスクリット系の言語であるネパール語のフォントの衛星中継での両方向の変換テクノロジーと翻訳シ ステムの機能のフィールドテストが稼動します。そしてこの結果が成功すれば、アジア各地で使われている複数の言語の使用が可能となり、絶滅が危惧されてい る民族言語、例えば極北シベリアのコリヤーク語を使用して少数民族文化の伝統の維持に寄与できます。

学校校舎の屋根に設置されている太陽光パ ネルのサイズでも分る通り、衛星通信の地上ステーションを稼動するのに必要な電力はごく僅かですむ
地域の伝統文化の維持の一つとしてネパールで進行中の試みにカブレ地区の仏画(タンカ)画工養成スクールの支援があります。第一にそれは、村々に残るチ ベット仏教の文化伝統を若い世代に伝える役割を果たし、アジア太平洋の他の国々の人たちとの交流を通じてネパールヒマラヤ山地の文化を直に知ってもらう機 会が生まれます。第二に、これが成功すれば若者たちが村に居ながら現金収入を得る機会につながるという意味でユニークな『村おこし』運動の起爆剤となる可 能性があるのです。
ネjパールのような古い歴史と多様な文化伝統を持つ国にはこの他にも数多くの民芸品があり、その一つひとつがネパールの多様な民族の生活文化として生きて いて、衛星中継での本交流プロジェクトへの参加は、私たち日本人にとっても楽しい期待が持てます。

これは、折りたたんでケースに収納が可能 な完全なポータブル型の太陽光発電パネルです。これさへあれば、四輪駆動車に載せて移動しながらの通信が可能になります
そして一度このような方法で外の世界との交流の場がインターネット上に生まれれば、これを出発点として多様な市民レベルでの文化交流や経済交流のネット ワークが生まれる可能があります。
解決の糸口が見えにくい問題の一つに、日本のいわゆる『歴史教科書問題』がありますが、これなどはインターネット上でのITテクノロジーに支えられた直接 文化交流をてアジアの子供や若者同士がお互いの歴史や文化についての理解を深めることで自然と解消への糸口が見つかるでしょう。
大都会で恵まれた環境に住む子供たちにとっては、ネパール美しい大自然の中で物質的には貧しさの極限のように見えるネパール山地の村々の子達が元気に生き 抜いている姿に感動すると同時に、カトマンズの富裕層に属する子供たちの生活との間の余りにも大きいギャップに驚かされるはずです。世界中の子供たちが公 平な条件で必要な教育を受けることができるためには何が必要なのかを皆で考えましょう。

(3) いよいよ地上ステーションが稼動した場合の現地側での実況
日本でのテスト風景。2002度夏には日 本でできるテストは全部終了しているので、残るテストは2002年型のステイシア906号システムの現地での実際の両方向の交信テストだ

右の写真の前方の窓際のデスクには黒色のケースに入った地上ステーションが置かれており、屋上に設置したアンテナに接続されています。手前のラップトップ も地上ステーションにつながっていて、もうそろそろ頭上を通過する通信衛星との交信が自動的に始まっています。
ここでは家庭用電源を使っていますが、僻地ではこれに小規模な太陽光、あるいは風力発電設備があれば全く問題はありません。地上ステーションさへONにし ておけば、自動的に衛星につながり送受信を行います。パソコンを電源につなぎメールボックスをチェックすれば、衛星からダウンロードされたメールがたまっ ています。あなたが送信するメールも書き溜めておきさへすれば自動的にアップロードしてインターネット上のメールとなり世界の各地に配達されます。

ラップトップに内蔵されたOSには、アジ ア諸国、特に僻地のインフラ事情を勘案する場合、不調の場合の修理パーツやノウハウの点でウインドウーズ95か98が好ましい
ラップトップの画面に見える世界地図の上には、通信衛星の軌道が曲線で示されている。地上ステーションに内蔵されたソフトが複雑な計算式を使って衛星軌道 を算出し画面表示するわけで、各種の原因で生じる微細な誤差は内蔵するGPSが自動修正してくれる。
これで、現地では何日の何時ごろに衛星が頭上を通過するのかが一目瞭然に分り、文化交流に関する作業日程を組むことができます。また、URLを使ってのイ ンターネット上のホームページへアクセスして文字データのダウンロードすることも自由ですし、言語障壁無しに現地国の言葉を使ってメールで送信したデータ は全部相手国の言葉に翻訳されてあて先に届きます。これには、我々が開発し運営するj多言語翻訳チーム管理ソフトによって、器械翻訳を一切排除し世界各地 の専門能力を持つ翻訳者によって性格に翻訳されますので意味不明の翻訳文章は一切なく、お互いの間での誤解を生みません。
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